春の雪

ヒラリ、またヒラリ
それは宙を舞いながらゆっくりと降りてきた。
んっ、これは白い小さな雪の手紙ですね。
一通を読ませて頂きます。

桜さん、春だからと言って浮かれているのではありませんか。きっとあなたの事ですから新たな出会いや運命に胸をときめかせている事でしょう。そんなあなたに水を差して悪いのですが、まだ、今月分の家賃が支払われていませんよ。早急にお願います。花の命は意外と短いのですからね。全く、なぜ、いつもあなたは滞納するのですか。理由を教えて下さい。それ次第ではもう少し待ちますよ。

なるほど神様から桜さんへの手紙だったようですね。急いで桜さんに渡して来ます

桜さん、郵便です

桜は手紙を受け取ると枝の花弁をフゥーと宙に吹き飛ばし空高く舞い上げました

神様、お手紙ありがとうございます。
お察しの通り、私は多少浮かれていました。
でも、ご安心下さい。先日、私の恋は無残にも散りました