北斗恋光(ほくとれんこう)

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天の斗(ひしゃく)の第六、ミザールの片手に結ばれたアルコルは、微かな光を侮られ、七曜の栄を外れた補星(そえぼし)でした。
隣り合うミザールの輝きは、アルコルの存在を薄めるばかり。
消え入りそうに吐息してゆらめく姿は、風前の灯火に似て、他の星々も、地の人々も、命を消す星――死兆星(しちょうせい)と忌み嫌います。

「ミザール、御手をお放し下さい。私は貴方に相応しくない」
傷心のアルコルが陰に沈む度、ミザールは己の光で隠しながら、小さな肩を、そっと袖に庇います。
「雑音など捨ておけ、アルコル。私は望んで其方の傍にあるのだ」
腕の中で静かに頷く時の、眩いばかり美しいアルコルを、ミザールは他に見せたくないのです。たとえ孤立させる一方でも、アルコルにも、ミザールだけ見てほしいのです。

夜天に燃える灯火は、恋の隠れ蓑。アルコルの光が、地上から捉えられぬまでに儚い時、二星は一つに寄り添っているのです。
ファンタジー
公開:19/02/24 08:16
北斗七星(七曜)と補星

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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