晴店

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古びた街に似合わぬ、スカイブルーの扉を開けるー。

「いらっしゃい、冴えない顔じゃないか」
店主が言う。
「この店に来るってことは、そういう気分の時だろ?」
「仕事?それとも恋愛かい?」
「後者だよ…」
「じゃあ、今日はこれだね」
そう言うと、店主は僕に本を渡した。



数時間後、本を読み終えた僕は、店主に言う。
「さすがだね。ちゃんと気持ちを伝えてみることにするよ」
「来た時よりも晴れやかな顔をしているね。良かったよ」

店主に別れを告げ、店を後にする。

来た時よりも足取りは軽やかだ。
落ち込んだり、迷ったりして、気分が優れないときは、ここに来るのだ。
ここでは、客を後押しするような本を店主が選んでくれる。
そして、その本を読み終えた暁には、晴れやかな気分になれるのだ。

そんな素敵な店の名は…
“晴店(せいてん)”である。
その他
公開:19/02/25 19:00
晴店

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好きな社会人3年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



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