マゾ裁判

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弁護人
「被告人は、その日とても良いとされることがあったんです。
友人に会い、見知らぬ人に褒められ、仕事の依頼を受けました。
本来なら喜ぶべきことです。
実際被告人も心から喜んでいます。
しかしながら、喜びは苦しみのもとと化しました。何か良いことがあると被告人は苦しいのです。
自分は大した人間ではないのに、過大に評価されてしまった。恐ろしい。楽しいことがあると悪いことが次に起こるに決まっている。楽しくて苦しむならば、いっそ迫害され、蔑まれた方が嬉しくなるかもしれない。
そう被告人は考えます。そして実際に息がしづらなって苦しむのです。
被告人のこの苦しみをもって、情状酌量をお願いします。」
裁判官
「判決。被告人はマゾである。
苦しみから喜びを見出そうとしているからである。」

この判決を聞いて被告人は涙した。喜びと苦しみの涙である。

これが、魔女裁判、ならぬマゾ裁判の要旨である。
ファンタジー
公開:19/02/24 19:25

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