夜色の猫

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‪ひと月前に猫を拾った。‬
‪紺色のあまり可愛げのない猫だ。‬

生き物を飼うという経験をしたことがないためよく分からないが、この猫は普通の猫ではないのだと思う。毎日餌を取り替えてやるが、一度だってその餌が減っていた日はない。

「お前、食べなきゃ死ぬだろ」

言ったところで通じてはいないのだろう。ブラッシングした訳でもないのにふわふわな毛を撫でれば気持ちよさそうに鼻をひくひくと動かした。

パンザマストが響く夕方。
呑気なうちの猫は出かける。
夜道は危ないだろうに、帰宅途中の学生の群れに捕まることなく猫は消えていく。

「そういや、名前付けてないな」

今更だが、なにか付けてやるべきだろうか。
ほんりと暗くなった外をみて少し悩みながらもカーテンを閉める。どうせ、きっちりと施錠してもあの猫は日の出前に帰ってくるだろう。それよりも、午前中はぐっすりと眠ったのだから夜はしっかりと働かないと。
ファンタジー
公開:19/02/22 20:16
更新:19/02/22 22:59
猫の日

ふみ はじめ

最近とても困っていることはハンバーガーを上手に食べることができない事です。

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