住めば都

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僕が住んでいる部屋は過去に3人が自殺し、2人が強盗に殺されている。有名な事故物件である。
そんな曰くもあり、ここの家賃は凄く安い。同僚には「あの部屋に住んでいるなんて不気味だ」なんて言われるけど住めば都だ。それに僕はこうして生きている。
そもそもの話、前提が逆なのだ。僕は幽霊がいるから生きているのだ。
引っ越し初日、僕は天婦羅を揚げようとして油に引火させてしまった。激しく上がる火柱に僕はオロオロするばかりだった。
その時、濡れタオルが飛んできた。消火器が用意された。僕の頭にげんこつが落ちた。
『私達の家を燃やす気か!』
怒鳴ってきたのは3人の幽霊だった。僕は幽霊に生活力のなさを一晩中説教された。
僕はおっちょこちょいで部屋の鍵をかけ忘れることが多い。その都度、強盗に殺された2人に怒られる。
僕は5人の幽霊がいなければ死んでいただろう。幽霊達も『呪い殺すまでもない』と苦笑いを浮かべている。
公開:19/02/22 18:34

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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