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「あれっ、君はこの辺では見ない顔だね。どこから来たの」
「あっ、初めまして。もしかして、この地域の方ですか。申し遅れました。私、顎髭と申します。この度、毛根移植に伴い、この頭頂部に家族と共に赴任してきました。これは詰まらないものですが」
「これは、これは、ご丁寧に」
「それにしてもこの辺は見渡す限り焼け野原ですね。草一本も生えていない。一体、何があったのですか」
「聞きたいかい」
「ええ、ぜひとも」
「いいだろう。君は知らないかもしれないが、この大陸は昔、鬱蒼と茂る黒いジャングルが広がっていたんだ。大地の栄養も豊富で数日経てば、私の背を簡単に植物が追い越したものだ。
だが、ある時、異変が起きたんだ。神の手が天から突如、現れ、全ての植物を刈り取ってしまったのだ。それ以降は干ばつが続き、こんな有様さ。若者達はこの地に見切りを付け、外国へ行ってしまったよ。残ったのは私みたいな老いぼれだけさ」
公開:19/02/22 16:21
更新:19/02/26 13:47

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