トンネル
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俺はトンネルの中を歩いていた。何年も何年も歩き続けていた。
「このトンネル。出口なんか無いんじゃないですかね。」
少し先を歩く女性に1週間ぶりに話しかけてみた。
「出口のないトンネルなんて存在しませんよ。」
彼女はトンネルの中で唯一出会った人物だ。
トンネルに入ったばかりの頃は、出口のことが気になって仕方なかったが、広がる暗闇に心はすっかり折れた。
どうせトンネルに入る前から俺の人生なんてトンネルの中みたいなものだった。俺にはこんな世界がお似合いだ。
それでも俺は進んだ。歯を食いしばって進んだ。目的なんてわからないけど進んだ。
すると、不意に光が見えた。出口だ。俺たちはついに外に出た。
トンネルの外は春だった。雲ひとつない空の下、菜の花畑が広がり、満開の桜が咲き乱れている。
ああ、こんな世界があったなんて。
「おめでとう。新生活のはじまりね。」
そう言って微笑む彼女は、やけに美人に見えた。
「このトンネル。出口なんか無いんじゃないですかね。」
少し先を歩く女性に1週間ぶりに話しかけてみた。
「出口のないトンネルなんて存在しませんよ。」
彼女はトンネルの中で唯一出会った人物だ。
トンネルに入ったばかりの頃は、出口のことが気になって仕方なかったが、広がる暗闇に心はすっかり折れた。
どうせトンネルに入る前から俺の人生なんてトンネルの中みたいなものだった。俺にはこんな世界がお似合いだ。
それでも俺は進んだ。歯を食いしばって進んだ。目的なんてわからないけど進んだ。
すると、不意に光が見えた。出口だ。俺たちはついに外に出た。
トンネルの外は春だった。雲ひとつない空の下、菜の花畑が広がり、満開の桜が咲き乱れている。
ああ、こんな世界があったなんて。
「おめでとう。新生活のはじまりね。」
そう言って微笑む彼女は、やけに美人に見えた。
その他
公開:19/02/23 19:32
田丸先生の講座を受講したことをきっかけに、ショートショートを書き始めました。表現するのは楽しいですね。末永く、書き続けていくのが今の目標です。
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