初恋の終わり

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泣いた泣いた泣いた泣いた。初恋の男の子を思い出して、婚約者の隣で泣いた。バスタオルがぐちゃぐちゃになり、私の実家に向かう船の中、彼は戸惑った顔をしていた。島に帰ってももう初恋の彼はいない。家族と一緒に東京へ行ってしまったから。
その晩、私たちは両親と島で採れた魚を食べて、お酒を飲んだ。家の一番北、台所に近い和室で私たちは眠ることになった。
部屋に二人きりになって彼は怒った。初恋の話なんかするな、と。
私は不思議に思った。これまで初恋もその次の恋も元カノも一夜の女の人の話も、ベッドで私にしてきた彼が、私のたった一つの恋の話に怒る権利があると思っていることに。
そして、はっきりわかったのです。私はあなたの妻にはなれないと。あなたと結婚できないと。
ずっとずっと時が経ち、やっと初恋のことも泣きつくせた。
あなたは私の初恋を終わらせるために現れた人だった。
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公開:19/02/23 17:15
更新:19/02/23 19:05

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