手品師の家

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「家を建てたんだ。遊びに来てよ。」
手品師の友人に誘われ、僕は遊びに来た。
手品師にふさわしい家と聞いていたが普通の家に見えた。

その時一匹の白い鳩が家の屋根に止まった。
次の瞬間、すっと鳩の姿が消え、
突然10匹に増えて空に舞い上がった。
鳩が消え、現れ、空に舞う…。

その時僕は気がついた。
家が手品をしているのだ。
なるほど手品師にふさわしい家だ。

僕は呼び鈴を押した。
手品師はすぐに玄関から出てきた。
「やあ、いらっ」
次の瞬間手品師はかき消すよう消えてしまった。

警察が家に来て、大捜索が始まった。
手品師が行方不明になってしまったのだ。
どうも家が手品をしくじったらしい。

手品師はどこに消えたのか?

家をいくら調べても分からなかった。
結局家を壊したが、それでも見つからなかった。
しかたない。
手品師は種を明かさないものだ。
家はなにも語らず、静かに消え去った。
ミステリー・推理
公開:19/02/23 14:56

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