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朝のお庭は体が冷えるでしょうと、疑天竜安禅師が濃茶を練ってくださった。
茶筅の音が柔和に響く。雲が飛び、庭が陰となった。作法を知らぬ私は、石庭の岩の一つによく似た茶碗を手に取り、一口啜る。苦味の中にあるかすかな甘みが、ほんのりとともる灯篭の明かりのように暖かい。
「お加減は?」
「結構なお点前で」
続けて二口半。激しい風が一陣吹き抜ける。
「銘は?」と私は尋ねた。禅師は、
「見性でございます」と答える。
再び太陽の照る庭は白く清浄である。
大きく欠伸をして、「掛川茶」というペットボトルのお茶をゴクゴクと飲む。
ここら辺はみんな茶畑だなと思い景色を見る。すると、目に入る限りの茶の木の一枚一枚の葉の形が、すべて違っているということが、はっきりと見えてきた。
私はまたトイレに駆け込んで便器に屈むと、ドロドロとした緑色の液体を呵々と吐き出した。
茶筅の音が柔和に響く。雲が飛び、庭が陰となった。作法を知らぬ私は、石庭の岩の一つによく似た茶碗を手に取り、一口啜る。苦味の中にあるかすかな甘みが、ほんのりとともる灯篭の明かりのように暖かい。
「お加減は?」
「結構なお点前で」
続けて二口半。激しい風が一陣吹き抜ける。
「銘は?」と私は尋ねた。禅師は、
「見性でございます」と答える。
再び太陽の照る庭は白く清浄である。
大きく欠伸をして、「掛川茶」というペットボトルのお茶をゴクゴクと飲む。
ここら辺はみんな茶畑だなと思い景色を見る。すると、目に入る限りの茶の木の一枚一枚の葉の形が、すべて違っているということが、はっきりと見えてきた。
私はまたトイレに駆け込んで便器に屈むと、ドロドロとした緑色の液体を呵々と吐き出した。
ファンタジー
公開:19/02/23 11:53
更新:19/03/03 10:24
更新:19/03/03 10:24
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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