虹色の窓
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「山が見えないんだね」
窓の外を見て、妻が残念そうに言う。
僕の転勤で、東京へ引っ越してきて1ヶ月。
故郷から離れたことのなかった彼女は、なんだか元気がない。
新人歓迎会の帰り道に、見慣れない屋台を見かけた。
「何かお困りですか?」
スーツ姿の男が声をかけてきた。
「妻がホームシックにかかってしまって」
「今の時期は多いんです。大変でしょう」
男は虹色に輝く窓を取り出した。
「きっとお役に立てると思います。奥様には内緒にしてくださいね」
マンションのベランダの窓を、こっそり取り替えた。
妻を窓際に呼び寄せる。
「外を見てごらん」
窓の向こうに青い山が見えた。
「山が白く霞んできたら、雨が降るんだって」
母がよく言っていたと、懐かしそうに笑う。
「心配してくれてありがとう。あなたも覗いてみる?」
ただの曇りガラスに過ぎなかった。
ああ、そうか。
未来はまだ見えないんだ。
窓の外を見て、妻が残念そうに言う。
僕の転勤で、東京へ引っ越してきて1ヶ月。
故郷から離れたことのなかった彼女は、なんだか元気がない。
新人歓迎会の帰り道に、見慣れない屋台を見かけた。
「何かお困りですか?」
スーツ姿の男が声をかけてきた。
「妻がホームシックにかかってしまって」
「今の時期は多いんです。大変でしょう」
男は虹色に輝く窓を取り出した。
「きっとお役に立てると思います。奥様には内緒にしてくださいね」
マンションのベランダの窓を、こっそり取り替えた。
妻を窓際に呼び寄せる。
「外を見てごらん」
窓の向こうに青い山が見えた。
「山が白く霞んできたら、雨が降るんだって」
母がよく言っていたと、懐かしそうに笑う。
「心配してくれてありがとう。あなたも覗いてみる?」
ただの曇りガラスに過ぎなかった。
ああ、そうか。
未来はまだ見えないんだ。
ファンタジー
公開:19/02/21 13:04
更新:19/02/21 13:35
更新:19/02/21 13:35
新生活
短い物書き。
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