羽バター

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このあいだ最寄りのスーパーマケットで見つけたバター。買ってみることにした。
名前は羽バターというようだ。うたい文句は「鳥の羽のように軽やかなバター」らしい。
早速、朝食のトーストに塗ってみる。
バターは、みるみるうちにトーストの熱で溶けて染み込んでいく。美味しそうだ。
口に含む。
しゃく、しゃく。
なるほど。
たくさん塗ったはずなのに、全く重くない。さっぱりしていていくらでも食べられそうだ。もう一枚用意しておいたトーストも、同じようにバターを塗る。

せっかくなので、温かい飲み物を一緒に飲みたい。確か、インスタントコーヒーがあったはず。


マグカップにコーヒーを淹れて戻ってきた。違和感に気付く。トーストがない。
辺りを見回す。どこにも見当たらない。
ふと、換気のために開けておいた窓が目に留まった。

まさか……。

窓の外を見る。

遠い空の向こう。羽ばたいて遠ざかるトーストが見えた。
ファンタジー
公開:19/02/20 23:35

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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