ハンカチの香り

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彼女は怒りに満ちていた。
放課後の体育館、ジャージ姿の部員達の中で、黒い一団が異彩を放っている。
ひしめく各部に割り振られるスペースは十分ではない。素行の悪い者達に一角を占拠されるのはあきらかに邪魔だった。
あ、そろそろ彼女の我慢は限界だ。
先んじて僕は眼鏡を外す。
「お前らいい加減にしろよ!」

ボコボコにした僕を嘲笑いながら彼らが立ち去る。
さすがに立ち上がれない。
「あんたはもっと賢いと思ってた」
彼女が言う。
「あんな考えなしに」
「考えはあったよ、ケンカ腰だったのは他の場所に連れてかれないため、目撃者の多いここなら酷いけがを負わせられないし、事件現場に居られないから追い払える、それに騒ぎを起こしたからここにはもう来ないと思うよ」
「あきれた、バカなの?もう、これで鼻血を拭きなさい」
「ありがとう、…このハンカチ、君と同じ匂いがする」
「はあ?」
「サビた鉄の匂い」
「よし血祭り」
青春
公開:19/02/22 04:14
更新:19/02/22 20:57

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