見たかった景色

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窓の外を眺めている。外では満開の桜が陽の光をはじいて、街をピンクに染めている。
私には前世の記憶があって、それによるとどうやら桜の木だったようだ。
たくさんの人が私を見上げていた。様々な人生があった。
別れを悲しむ人。決意を新たにする人。晴れやかに微笑む人。

一年のうち七日間ほど。花が満開になってから散るまでの間のみ、視界が鮮明になって、この世界を見ることができた。
人間の世界が一体どんなものなのか、その全てを見たかった。私を見上げていた彼らが、どんな人生を歩んだのか興味があった。その想いが叶ったのかもしれない。
自然と笑みが溢れる。一体どんな人生が待っているだろう。

ふと、頭の上から声が聞こえた。


新築の家の中で、若い夫婦が話し合っている。
「あ!今、笑った」
「本当だ。桜が好きなのかな」
だうー。
赤ん坊は窓の外を眺めている。満開の桜が陽の光を反射して、部屋をピンクに染めた。
その他
公開:19/02/21 23:35
新生活

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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