壁猫。外伝⑦~告解詞(つげときことば)

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しくじった。空中遊泳しながら思った。
涙で前が霞んで、信号無視で撥ねられた。完全アホ。あぁカンゼ平気かな。酷ぇ事した挙句、後味悪ぃ――ぶつ切りで思って、『来るな!!』あいつの声と一緒くたに回って。

――半年経過。
怪我は命に別状なくて、骨折と肋にヒビで済んだ。普通に登校出来るけど、出席不足で留年だし。とかぐずってる間に、来週は卒業式。
病院で起きたら、血相変えた親父と、泣き崩れるお袋がいた。
どうやら、俺はそこまでアウトじゃなかった。

入院中も、退院してもカンゼは来なかった。3Bの加藤元雅(かとうもとまさ)。名前すら知ってるか怪しい。勝手にハマって追っ掛けて、言いたかった事が『お前凄ぇ』だ。ザ、アホの見本!
うだうだ転がってた卒業式前日、郵便受けに入ってた。何かの台本?
古文の下、手書きの訳。端から端まで読んで、何で俺があんなに泣けたか判った。
あれはSOS――あいつの悲鳴だったんだ。
ミステリー・推理
公開:19/02/22 00:00
更新:19/02/22 18:43
壁猫。エピソード1・9(A)

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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