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大きなトラックが不意に目の前に現れたと思うと、激しい衝撃とともに暗闇が訪れた。

そのすぐ後のことなのか、ずいぶん時間が経ったのかわからないけれど、どうやら僕の体は横になって薄明るい空間に浮かんでいるようだった。
そして目の前に、なにか小さな赤いものが浮かんでいた。
それは美しい光をまとった、一つのトマトだった。
やがて、その透き通るような輝く肌に色んな光景が現れ始める。
ゆりかごから天井を見上げている僕を見下ろすやさしい二つの顔。
母の背中、砂場、三輪車、小学校の教室、たくさんの友人たちの顔、卒業式、美しい少女の手、伝わらなかったたくさんの言葉たち、やっと出会えた運命の人、初めての子供が生まれて思いもかけず号泣する僕、そして、そして……

ふと気が付いた。
神様、あなた「走馬灯」と「トマト」を間違えてませんか?
ファンタジー
公開:19/05/17 17:09

家韮真実(いえにら・まみ)( 兵庫県 )

もともとは漫画を描いていました。
漫画のアイデアを文字で書いているうちにショートショートも書くようになったんですよね。
名前はもちろんペンネーム。
実際にはない名字を考えました。
読みは、男の子気分の時は『いえにら・まさみ』
女の子気分の時は『いえにら・まみ』に変わります(笑)

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