オメガ号の帰還

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「地球の皆さん、私は帰ってきました」
 宇宙船から船長が降り立つと、周囲を取り囲む兵隊が叫んだ。
「動くな。名を名乗れ」
「私はオメガ号の船長です。オメガ号は、数十年前に極秘に計画された人類史上初の超光速宇宙船です。私は、銀河系から遥か遠くへ飛び出し、ただ今地球に帰還しました」
「オメガ号だと?」
 兵隊は武器の安全装置を外した。
「この間やって来た奴も、その前の奴も言っていたな。私はオメガ号の船長だとね。あやうく騙されて侵略されるところだった」
「違う、私は本物だ!」
「奴らも頭を吹っ飛ばされて黄色い血を吐きながら言っていたよ。自分こそ本物のオメガ号の船長だとね」
 船長は死の恐怖を感じ一気に走り出した。船長の背後で銃撃音が鳴り響いた。ふいに焼け付くような痛みが船長の身体中に走った。
 薄れてゆく意識の中で、船長は手のひらに付いた血を見つめた。その色を見て、船長は自分が何者なのか悟った。
SF
公開:19/05/18 11:06

黒柴田マリ( ヨコハマ )

黒柴田マリと申します。ショートショート、大好きです。あと、リンゴも大好きです。

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