「エリザの独白と黙考」20の職業　⑮検索エンジン開発者

人付き合いと検索エンジンは似ている。
条件を追加すれば追加するほど、選択肢は狭まっていく。

「高学歴、高収入、高身長」
全部持っている人は少ない。
「白、発、中」
それぞれ一つだけでは限定できないが、全て合わさると特定できる。

「ほうじ茶、ルームシェア、パンタグラフ」
意味の分からない組み合わせが、時に絶大な衝撃をもたらしてくれる。
「話す、考える、書く」
理由は分からないが、この組み合わせでなぜか検索したくなる。

エリザが自分で作り上げた検索エンジン。
ロジックは全て把握している。
しかし、データは無限だ。
組み合わせは無限だ。
日々情報を収集して学習を続けていくエンジンは、エリザの想像を超えていった。

エリザは検索エンジンに自分の名前を打ち込んで微笑んだ。
単語を組み合わせてさらに口元が緩んだ。
条件が厳しくなればなるほど、絞り込めば絞り込むほど、逆にエリザの口は緩んでいった。