アリたちは団結した

アリたちが巣を作ってる。
「列を乱すな」「もっと早く歩けよ」「先輩より小さいモノ持つなよ」
新人アリへの愛のムチが飛ぶ。この時期の儀式だ。
また沢山のアリが動いているから、揉め事が多い。ただ仲裁に入るアリは居ないから、「触角が触れた触れない」というような些細な事で作業が止まることもしばしば。だから日頃のコミュニケーションも少なくはなる。
ある日のこと。朝から大雨が降る。想定外の雨量により、巣の一部が崩れ始めた。最低限の手段で大事故は防げた。
晴れた次の日。巣を調べると食糧庫が崩れていた。アリたちは先輩も後輩も関係なく、食糧管理アリもお世話アリも働きアリも皆んなで修復作業を一生懸命にやった。自然とコミュニケーションも生まれ、いつのまにかアリたちは団結し、いさかいも減ったようだった。
まさに「雨降って地固まる」だ。