いちいち一の一文

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一の付く日の一の市の、いちいち一の位置の合わない小さいチラシの一件で、一応意見の一致を見た一月一日午前十一時、市松模様の市女笠に一山(いちやまではない)のイチヂクを盛った独りの一人、九九で言う一×一=一(いんいちがいち)は、いち素人らしく、今いまいち良い配置を図りかね著しく悩んだ一案として、第一人者『一輪車の一ちゃん』こと伊地野一氏(愛知県一宮市)に、一か八か一の市での市場活動の挙動に一家言求めようと、低地に一部移築された場外地市場からここ市場一番通りへ上る途上、一丁目一番地一号手前のイチゴ栽培地の売地の看板の、一字一句狂いない緻密さにイチコロに悩殺(いわゆる参っちゃった状態)された末、萎凋した銀杏と櫟の並びの『一輪車の一ちゃん』の一輪車をいつしか通過し、午後一時、一時帰還して常連連中に「おーいちょっと」と熱い『お~いお茶』缶一缶を一服に振る舞われるまで、つい力一杯イチジクを逸脱していた。
その他
公開:19/05/16 16:42
早口言葉にトライ

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

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