翡翠の卵

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昔々あるところに、野原で翡翠の卵を見つけた女の子がおりました。女の子は何か素敵なことが起こる予感を胸に、その卵を誰にも見せないで内緒で温めて続けました。
「早く出ておいで、かけっこしよう」
朝、お部屋の一番いいお布団をかけてやります。
「ママのおにぎり、美味しいよ」
原っぱで一緒にお弁当を食べました。
「真っ暗は怖くないよ。私が守ってあげるから」
寝る前にはおしゃべりしました。
それから10年が経ち、両親は不幸な事故で死んでしまいました。悲しい現実を前に心を無くしかけていた女の子の目の前で、ついに翡翠の卵のヒビが入りました。ヒビからは大根足と翼が飛び出し、すっくと立ち上がってこう叫びました。
「我は越前守翡翠の助!故あって孵化に10年もかけてしまった。安心せい、我と共に生きようぞ!」
それはとても可愛くないものでした。ただただ滑稽で、女の子は思わず笑って、それから思いっきり泣きました。
ファンタジー
公開:19/05/16 14:38
時代劇の見せすぎ

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw

いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
https://minne.com/@sakoyama0705  - ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)

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