8
8
「俺だって昔はよう。」
間口の狭い、小さなカウンターだけの焼き鳥屋で、トレンチコートの男がコップ酒をあおっている。
「俺だって昔はよう。」
主人は焼き台の上から目を離さず、ときどき焼鳥をくるっくるっと回している。
「心に翼が生えてたねえ。ねえマスター。」
「そうですか。」
主人が小さく呟く。
「それが今じゃ、毎日、毎日、鉄板の上で焼かれる焼鳥になっちまったー。」
「それ、鯛焼きじゃないんですか?」
「うるせー!お代わり!」
トレンチコートの男は、飲み干したコップを、カタンと音をたててカウンターに置いた。
「旦那。今日はそれくらいにしときなよ。」
主人はそう言って、また焼鳥をくるっと回した。
間口の狭い、小さなカウンターだけの焼き鳥屋で、トレンチコートの男がコップ酒をあおっている。
「俺だって昔はよう。」
主人は焼き台の上から目を離さず、ときどき焼鳥をくるっくるっと回している。
「心に翼が生えてたねえ。ねえマスター。」
「そうですか。」
主人が小さく呟く。
「それが今じゃ、毎日、毎日、鉄板の上で焼かれる焼鳥になっちまったー。」
「それ、鯛焼きじゃないんですか?」
「うるせー!お代わり!」
トレンチコートの男は、飲み干したコップを、カタンと音をたててカウンターに置いた。
「旦那。今日はそれくらいにしときなよ。」
主人はそう言って、また焼鳥をくるっと回した。
その他
公開:19/05/16 09:03
シリーズ人間
巣々木尋亀(すずきひろき)と申します。
コメントを頂きましたら、頂いた方の作品への感想でお返ししています。
決してスルーしている訳ではありませんのでよろしくお願いします。
noteにも作品を投稿しています。
https://note.com/nonlemon
twitte/@bungeifujico
ログインするとコメントを投稿できます