苛立ちが重なれば、懐は大きくなる

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「もう、用意は済んだか?いつまでも、この場所に長居は出来ないんだ」
父親は、私にいつもと同じように、そう言った。

性格が優しかった父親は、友人に騙されて、借金を肩代わりする羽目になってしまった。

そのせいで、母親に離婚された。
私は母親か父親のどちらにつくか悩みに悩んだ末、哀れに微笑む父親に同情してしまい、そちらにつくことにした。

私は、一年に4回は引っ越しをし、いく所々で、友達も出来ずに惨めな思いをするようになった。

「ねえ、もう、こんな暮らしはいやだよ。父さんは何も悪くないじゃないか」
私は、鞄に襟元がたるんだ服をしまいながら、文句を垂れた。

「優太。父さんは本当に馬鹿だったよ。でも、優しさを裏切ることは出来ないんだ」

私は、相変わらずの父親のお人好しさに苛立ちを感じながら、どうしても、父親をとがめることは出来なかった。
その他
公開:19/05/12 19:26

神代博志( グスク )









 

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