言いまちがいボイス・チェンジャー

退屈な学校の授業だが、今日は昭平くんはソワソワしている。

彼のポケットには小さなカプセルが、幾つも入っている。
知り合いの次郎さんから「試作品」を貰ったのだ。

音楽メーカー「ハマヤ」の試作品は「言いまちがい・ボイスチェンジャー」。
カプセル中のガスを吸うと、言いたいコトバと微妙に違うコトバを発するのだ。

さて『社会』の授業。先生の背中に昭平くんはそっとカプセルを投げた。
先生は「都市国家」を「年とった」と言い、支離滅裂になってしまった。

次の『数学』でも、またカプセルを投げつけた。
先生は「微分積分」を「セブンイレブン」と言い、生徒に「ここは商業科ですか」とツッコまれた。

だが次の『古文』の女教師は、カプセルを手で捕り、昭平君を睨んだ。
「停学の罰、受けますよ！」
だが彼女はカプセルを潰していて、言ったのは
「全額のバック、受けますよ！」

彼は答えた。「ぜひ、お願いします！」