妻憑き

父は早くに妻…私の母を亡くした。
父は男手一つで私を育ててくれた。母の分も愛情を注いでくれた。
そんな日々の中で分かったことがる。父はモテる。
気配りが出来て誰にでも優しい。家事が得意でキャラ弁なんかも作ってくれた。
娘である私に嫌われたくない為か、女性のトレンドや好みにも詳しかった。
その上、大人の男の余裕？という奴だろうか？私には分からないが、にじみ出る雰囲気に皆が虜になった。
とにかく父は女性にモテた。

そんな父に恋人は作らないのか？再婚はしないのか？と聞いたことがある。
父は苦笑いを浮かべると「僕には妻の幽霊が憑いているらしくてね。彼女に成仏して貰うまでは再婚はおろか、恋人を作るなんて考えられないよ」と、答えた。
そんな事言われたら「私のことは気にしなくていいよ」って、言えなくなるじゃないか…
父は母を今も愛してる。
父の薬指の指輪は今日も色褪せることなく輝いている。