不老不死の男

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 男が呪文を唱えると魔人が現れた。男は魔人に言った。
「私を不老不死にしてくれ」
 魔人は戸惑いの表情を見せた。
「何だ?できないのか?」
「いえ、なぜそのような事を願うのかなと思って」
「余計なお世話だ。大金がほしい、とでも言うと思ったのか?不老不死こそ…」
「ご高説は結構。では、どうぞ」
 魔人は消えた。男は、自分が不老不死の力を得たと確信した。しかし不老不死の男を待ち構えていたのは、環境汚染、全面戦争、他星からの侵略など悲惨な事ばかりであった。
「もう生きているのもイヤになった」
 男は有り余る時間を費やし、タイムマシンを完成させた。タイムマシンで向かうは、魔人と取引をする前の自分。そう、不老不死になる前の自分を殺せば、男は死ねると考えたのだ。
 男は若き自分に銃弾を放った。しかし男は死ぬ気配すらもなかった…
 しまった!魔人に騙された!
 俺は、もともと不老不死の男だったのだ!
ミステリー・推理
公開:19/05/13 23:41
更新:19/05/20 22:52

黒柴田マリ( ヨコハマ )

黒柴田マリと申します。ショートショート、大好きです。あと、リンゴも大好きです。

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