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 スクランブル交差点で『御守』を拾った。橙色の布製で「御守」という字が、大きな字と小さな字とで刺繍してあった。私は何気なくポケットに入れて持ち帰った。
 その後、車のバックミラーに吊り下げてあった「交通安全」や、キーホルダーにつけていた「家内安全」「無病息災」、財布に入れていた「開運祈願」「金運上昇」、会社の引き出しの「商売繁盛」「出世祈願」、鞄に入れていた「成功成就」「旅行安全」、寝室の「子宝祈願」「無病息災」「長寿祈願」の御守りが、次々と無くなっていった。
 私は薄気味悪くなり、拾った『御守』を改めて見てみた。するとそれには「効能」が書かれていなかった。いや、本来「無病息災」などと書かれるべき位置に「御守」と書かれているのだ。
「御守を守る?」
 いや、私の御守は無くなってしまった…
「御守から守る?」
 だが、一体どんな連中がこの『御守』を買うというのだ?
 私は、とても怖くなった。
その他
公開:19/05/10 11:52
更新:19/05/10 12:18

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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