違う世界

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目を覚ますと知らない場所にいた。辛うじて照明が生きているような薄暗い廃墟だ。ただでさえ薄気味悪いのに、張り詰めた金切声が近づいてくる。遠ざかれば離れるが、しばらくするとまた近づいてくる。陽の光も刺さない地下迷宮で、ろくに眠らずただひたすら声から逃げる日々。だが、ある日気がつくと我が家の中で目覚めていた。
「ああ、よかった。帰ってこれた」
悪夢を見ていたのだろう。そう思うことにして妻の手料理に舌鼓を打った。耳に馴染んで心地のいい妻の声。温かい家の空気。全てが愛おしい。もうここから離れたくない。
嫌なことを忘れてしまいたくて、風呂場に足を運んだ。
ぐしゃり、その風呂場は赤黒い油で汚れた知らない部屋だった。
「どうしてこんな油まみれで何もないんだ」
見回せば、妻のいる部屋はあの廃墟だった。窓一つない、行き止まりの部屋だ。金切声が聞こえる。部屋の扉のノブが開いた。
お願いだから、誰か助けてくれ。
ホラー
公開:19/05/10 09:46
夢日記 夫目線 目線が夢の中でごっちゃ

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw

いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
https://minne.com/@sakoyama0705  - ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)

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