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朝、冷蔵庫からジャスミンティーを入れた水筒を取り出すとき、
「今日はみたらしだんごと豆大福がある」と、うれしかった。
遅刻した。『ごまドレッシング』のつもりで買ったサラダは『ゆず塩』だった。アポイントが取れず、上司に厭味を言われた。でも今日は耐えられた。
普段、こんな日にはコンビニで少し高いアイスを買って帰る。けれども今日は、なるべく味の濃そうな緑茶を一本だけ買った。
顔がほころんでしまう。バッと冷蔵庫を開ける。だが、そこにはジャスミンティーを入れた水筒しかなかった。
私はその水筒を取り出して一度扉を閉めた。水筒の中身をシンクにジョボジョボと流し終えると、部屋中に芳香が広がった。それからもう一度、冷蔵庫の扉をそっと開く。みたらしだんごと豆大福とがあった。
私は、みたらしだんごと豆大福とを、冷蔵庫の扉を開けたまま、むしゃむしゃと食べ、買ってきたジャスミンティーを一息で飲み干した。
「今日はみたらしだんごと豆大福がある」と、うれしかった。
遅刻した。『ごまドレッシング』のつもりで買ったサラダは『ゆず塩』だった。アポイントが取れず、上司に厭味を言われた。でも今日は耐えられた。
普段、こんな日にはコンビニで少し高いアイスを買って帰る。けれども今日は、なるべく味の濃そうな緑茶を一本だけ買った。
顔がほころんでしまう。バッと冷蔵庫を開ける。だが、そこにはジャスミンティーを入れた水筒しかなかった。
私はその水筒を取り出して一度扉を閉めた。水筒の中身をシンクにジョボジョボと流し終えると、部屋中に芳香が広がった。それからもう一度、冷蔵庫の扉をそっと開く。みたらしだんごと豆大福とがあった。
私は、みたらしだんごと豆大福とを、冷蔵庫の扉を開けたまま、むしゃむしゃと食べ、買ってきたジャスミンティーを一息で飲み干した。
その他
公開:19/05/10 09:26
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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