睡魔

「困った眠気をすぐ撃退！眠れない夜ともオサラバです！眠気制御装置スイマー、発売開始！」

スイマーの商品化により人々は眠気の完全なコントロールが可能となった。スイマーに呼気を吹き込むと、その際の眠気を睡眠時間に換算し、吸収、預眠してくれる。また、溜めた預眠時間を引き出して体に再吸収させることもできる。発売開始と同時に売上は伸び続け、開発企業の株価は急上昇したが、2年後に大問題となった。
スイマーの最大預眠可能時間は約26万時間。30年程眠り続けられる値だ。購入者は劣悪な環境で働く低所得者層が主だった。彼らは睡眠時間を削って労働に従事する。眠気を払うためにスイマーに預眠を繰り返して心身を病んだ結果、溜めた睡眠時間を一気に再吸収し、眠りながら衰弱死する例が多数報告された。
スイマーは企業倫理に悖るとして開発販売中止となったが、ネット上では未だに、中古のスイマーが高値で取引されているらしい。