掟破りの殺人

　ある日の夕方。玄関のチャイムが鳴った。
「警察です」
「お宅のご主人のことで、ちょっと」
　しまった！もう見つかってしまったのか。死体を埋めた穴が浅かったのだろうか…

　数日前のこと。主人のあまりの横暴さぶりに耐えられなくなり、私は主人を殺してしまった。軽くぶつかっただけで、こうも簡単に人間が死ぬとは思いもしなかった。深夜になってから、私は車のトランクに主人の死体を入れ、山奥に向かった。私は素手で地面に穴を掘り、主人の死体を埋めた。車で家に戻る途中、私は不安でならなかった。誰かに顔を見られていないだろうか？足跡を残していないだろうか？指紋は残っていないはずだが…

　私は玄関ドア開け、冷静を装って刑事達に向かって答えた。
「こんにちは。ご主人様は…おりません」
　刑事達は、私の顔を見るなり、
「なんだ」
「メイドロボットか」
　と言い捨てて、取り調べもせずに帰っていった。
　助かった…