マリッジブルー

　マキから「二人で飲みたい」との連絡が入った。私ぐらいにしか悩みを分かってもらえる人がいないらしい…
「どうしたの、マキ？」
「私、もうすぐ結婚式だけど…何か…とてつもなく憂鬱なんだよね」
「典型的なマリッジブルーね」
「フィアンセは資産家だし、生活のために必死に働く必要もない。結婚したら遊んで贅沢な暮らしができるんだけど…」
「もしかして…フィアンセのアレが、どうしても許せないのかしら？」
「さすがね、図星よ…よりによって、何で私のフィアンセのアレが…」
　マキは、グラスの酒を一気に飲み干し、溜息をついて呟くように言った。
「…苗字が『原』なのよ？」
マキは、泣きじゃくりながら
「あーあ、このままだと私、結婚したら『ハラマキ』になっちゃうよ。この辛さ、マリなら分かってくれるわよね？」
「もちろんよ、私の彼氏の苗字は『尾田』だから、将来『オダマリ』になっちゃうかも…」