水かけ論

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今日も国会では侃々諤々と議論が交わされる。
やるやらない。謝る謝らない。その多くは意味のない水かけ論だ。
「議長、宜しいでしょうか。このまま議論に水をかけすぎると根本が腐ってしまいます」
そう発言したのは40代、苦労人で知られる畑山だった。
話の腰を折られたベテラン議員は勿論、進行役の議長も眉を顰める。
「なら、君が話を勧めたまえ」
議長は畑山に進行を譲るとお手並み拝見と言わんばかりにふんぞり返って様子を見始めた。
「では皆さん。意見は後にしてまずは言いたいことを一人ずつどうぞ」
その指示に従い、皆が一人ずつ発言した。
「では、これより1時間の水かけ論を始めます」
時間制限を設けたことにより、皆が無駄のない的確な指摘を始めた。議論に花が咲く。

数か月後、話し合いは実を結んだ。
「水かけ30年という言葉がある。私は伊達に農業を続けていたわけではないよ」
泥臭い畑山の笑顔に皆が惹かれた。
公開:19/05/11 18:23

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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