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うちは下町の小さな菓子店だった。
自家製の和菓子を売って細々と営業していた。
ある日の夕方、床の間に一目でそれと判る座敷童がいた。
売れ残ったお菓子を上げるとぺろりと食べた。
するとあくる日から急にお客が増え出したのだ。
数か月後、床の間に毎日のお菓子を置きに行くと、座敷童は2人に増えていた。
その日から毎日2つのお菓子を床の間に置いた。
するとさらに売り上げが伸び出した。
半年後には新しい工場を建て、従業員を雇い店舗も大きくした。
ある日床の間に座敷童が4人いた。
それからはお菓子も4人分で、更に売り上げが上がった。
店舗には行列ができ、デパートや駅地下に次々に出店した。
ある日、床の間の座敷童は8人に増えていた。
わが社は今や食品のトップメーカーになった。
しかしその生産量に比べて黒字が少ないとよく指摘される。
そうなんだ。
製造する食品の3分の1は、増えに増えた座敷童が食べるからだ。
ファンタジー
公開:19/05/11 11:23

家韮真実(いえにら・まみ)( 兵庫県 )

もともとは漫画を描いていました。
漫画のアイデアを文字で書いているうちにショートショートも書くようになったんですよね。
名前はもちろんペンネーム。
実際にはない名字を考えました。
読みは、男の子気分の時は『いえにら・まさみ』
女の子気分の時は『いえにら・まみ』に変わります(笑)

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