「エリザの独白と黙考」20の職業 ⑤機関投資家

2
5

思えば、それは幼少期の頃からだった。
村には四つ葉を集める少女がいた。
夢中で四つ葉を探す少女をエリザは応援したくなり、配給されたパンを分けてあげていた。
初めの頃は、パン目当てで集まる子どもがたくさんいた。
だが、いつしか少女とエリザのまわりには、一生懸命に四つ葉を探す子どもたちで溢れ返っていた。
エリザは学校へ上がると同時に村から離れることとなり、少女とはもう会うことはなかった。

海沿いの街で青春を過ごしたエリザは、ダイバーたちを眺めている内に根源を知った。空気は勇気。エンジンだ。
エリザは空気製造事業に関わることを決めた。

十の百の千の瞬きの中、エリザは全身を弛緩させた。
志を共にした仲間たちは、みな脱落していった。
端っこなのか真ん中なのか分からない宇宙に、エリザはただ一人。
空気はいくらでもあった。
投資は成功だった。

エリザが目を瞑ると、四つ葉を差し出す笑顔の少女がいた。
その他
公開:19/05/09 01:34
エリザの独白と黙考 その電脳がハックしたい

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
雑絡みOK!

電子書籍発売中:
https://www.amazon.co.jp/undoodnu/e/B07MK93FWK

Twitter:
https://twitter.com/undoodnu

note:
https://note.com/undoodnu

タップノベル:
https://tapnovel.com/writers/15521

アルファポリス(漫画など):
https://t.co/dsJrZRgEKC

ベリーショートショートマガジン「ベリショーズ」参加&編集&IT技術顧問:
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07PDJ6QPL

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容