「エリザの独白と黙考」20の職業 ⑤機関投資家

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思えば、それは幼少期の頃からだった。
村には四つ葉を集める少女がいた。
夢中で四つ葉を探す少女をエリザは応援したくなり、配給されたパンを分けてあげていた。
初めの頃は、パン目当てで集まる子どもがたくさんいた。
だが、いつしか少女とエリザのまわりには、一生懸命に四つ葉を探す子どもたちで溢れ返っていた。
エリザは学校へ上がると同時に村から離れることとなり、少女とはもう会うことはなかった。

海沿いの街で青春を過ごしたエリザは、ダイバーたちを眺めている内に根源を知った。空気は勇気。エンジンだ。
エリザは空気製造事業に関わることを決めた。

十の百の千の瞬きの中、エリザは全身を弛緩させた。
志を共にした仲間たちは、みな脱落していった。
端っこなのか真ん中なのか分からない宇宙に、エリザはただ一人。
空気はいくらでもあった。
投資は成功だった。

エリザが目を瞑ると、四つ葉を差し出す笑顔の少女がいた。
その他
公開:19/05/09 01:34
エリザの独白と黙考 その電脳がハックしたい

undoodnu( カントー地方 )

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