出産の秘密

「おぎゃー、おぎゃー」
お婆さんが出産した。最高齢記録である。お爺さんは困惑していた。
「川で洗濯していた婆さんが大きな桃を拾ってきよったんじゃ。ほんでな、それを食べたんじゃよ。すっと、翌日から婆さんのお腹が膨れて……で、こういうわけじゃ」
わしゃ何もしとらん、とお爺さんが頭をかく。

その頃、天界でその様子を見ている男がいた。
天界の問題児・チャラ天である。
「やれやれ、一件落着だな」
ホッと胸を撫で下ろすチャラ天は、数日前の事を思い出していた。

「あなたの子よ」
チャラ天の彼女であるマコちゃんが赤ん坊を抱えていたのだ。
「オレの子？！」
「あんたしかいないでしょ！」
「聞いてないぞ！」
「言ってないもん。私、悪魔だからね」
「バレたら天界から追放されるわ！　お前も魔界から追放だぞ！」
「どうする？」
「オレに任せろ！」

こうして、天使と悪魔の子は大きな桃に入れられ、天を下ったのだ。