北国の監獄
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「看守さん、ちょっと来てくれ!」
囚人は、鉄格子を握りしめて看守に訴えた。
「ここの独房は寒くてたまらない。そこで相談なのだが、暖房器具を支給してくれないか」
「何を贅沢な事を言っているんだ?」
「いくら俺が死刑囚だからと言って、凍死させていいのか!」
看守は少しむっとした表情を浮かべて
「所長に報告する。ちょっと待っていろ」
と、言い残して立ち去った。しばらくして、看守が足音を響かせて戻って来た。
「喜ぶといい。所長が暖房器具の支給を認めて下さったぞ。お前にぴったりの暖房器具だ」
「どんな暖房器具だ。ここはガスは通ってないから電気か」
「その通りだ」
「…とすると電気ストーブか」
「いや違う」
「電気毛布か」
「それも違うな」
「…意外なところで電気こたつとか?」
看守は首を横に振った。
「もったいぶらないで教えてくれ」
看守はニヤリと笑って囚人に答えた。
「電気椅子だ」
囚人は、鉄格子を握りしめて看守に訴えた。
「ここの独房は寒くてたまらない。そこで相談なのだが、暖房器具を支給してくれないか」
「何を贅沢な事を言っているんだ?」
「いくら俺が死刑囚だからと言って、凍死させていいのか!」
看守は少しむっとした表情を浮かべて
「所長に報告する。ちょっと待っていろ」
と、言い残して立ち去った。しばらくして、看守が足音を響かせて戻って来た。
「喜ぶといい。所長が暖房器具の支給を認めて下さったぞ。お前にぴったりの暖房器具だ」
「どんな暖房器具だ。ここはガスは通ってないから電気か」
「その通りだ」
「…とすると電気ストーブか」
「いや違う」
「電気毛布か」
「それも違うな」
「…意外なところで電気こたつとか?」
看守は首を横に振った。
「もったいぶらないで教えてくれ」
看守はニヤリと笑って囚人に答えた。
「電気椅子だ」
その他
公開:19/05/09 22:03
黒柴田マリと申します。ショートショート、大好きです。あと、リンゴも大好きです。
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