信じやすい女。

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「犯人はあなたですね」

 一人の女が、もう一人の女を追い詰めている。様々な状況、物的証拠が、彼女が犯人だと言っている。何より……

「この屋敷にはもう、あなたと私しか生き残ってないから」

 この屋敷の生き残りは二人だけ。つまり、彼女しか犯人はいないのだ。

「どうします?私を口封じでもします?でも、私は強いですよ」

 その時、苦し紛れに犯人の女は言ってみた。

「ち、違う! みんな、事故なのよ。事故で皆死んだのよ……お願い、信じて……」

 犯人も、苦し紛れだとはわかっていた。だが。

「……え?違うって、え?じゃあ、みんな事故で?……そっかー。は、はずかしいな。探偵っぽく決めたかったのに。ごめんなさいね」

 なんと通じた。犯人としても予想外だ。
 まあいいや。とりあえず、この人に犯人役になってもらおう。
 そう犯人が考えてるとも知らず、生き残りの女は恥ずかしそうに笑っていた。
ミステリー・推理
公開:19/05/09 18:38

バルバルサン( 様々です )

小説家になろうから、twitterまで様々な場所に出没。
短い文章にも挑戦してみます。
よろしくお願いします。

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