お迎え
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炎天下の中、私が保育園に着くと娘の担任が職員室の窓越しに声をかけてくれた。
「メグちゃんのお母様…すれ違いでしたわね」
「すれ違い…ですか?」
「たった今、メグちゃんのおじい様がお迎えに来てくださったんですよ」
そんなはずはない!父が娘を迎えに来られる訳がないのだ。実家の父が亡くなったとの連絡が入り、葬儀に出向くため娘を保育園まで迎えに来たのだ…
園庭は、真夏の日差しを受けて白く乾ききって、死んだように静まり返っていた。ただ、どこからか耳鳴りに似たセミの鳴き声が聞こえてきた。
呆然と立ちすくむ私に、先生は微笑みながらこう付け加えた。
「突然のことだったのでメグちゃんも驚いていましたけど、とても喜んでいましたわ…おじい様もメグちゃんに会うのは、一ヶ月ぶりとのことで、本当にうれしそうでした…『メグ、お迎えに来たよ、おじいちゃんと一緒に帰ろう』って、仲良く手を繋いでお帰りになりましたわ」
「メグちゃんのお母様…すれ違いでしたわね」
「すれ違い…ですか?」
「たった今、メグちゃんのおじい様がお迎えに来てくださったんですよ」
そんなはずはない!父が娘を迎えに来られる訳がないのだ。実家の父が亡くなったとの連絡が入り、葬儀に出向くため娘を保育園まで迎えに来たのだ…
園庭は、真夏の日差しを受けて白く乾ききって、死んだように静まり返っていた。ただ、どこからか耳鳴りに似たセミの鳴き声が聞こえてきた。
呆然と立ちすくむ私に、先生は微笑みながらこう付け加えた。
「突然のことだったのでメグちゃんも驚いていましたけど、とても喜んでいましたわ…おじい様もメグちゃんに会うのは、一ヶ月ぶりとのことで、本当にうれしそうでした…『メグ、お迎えに来たよ、おじいちゃんと一緒に帰ろう』って、仲良く手を繋いでお帰りになりましたわ」
ホラー
公開:19/05/07 19:28
黒柴田マリと申します。ショートショート、大好きです。あと、リンゴも大好きです。
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