ワンピース

大型連休が終わった。
新しい朝。とはいえいつもの朝。私は新しいワンピースに袖を通した。
気に入っていたワンピースが色あせてしまったから、同じ店で、同じ色の、同じワンピースを買った。
でも、袖を通してみると、以前のものとは少し違う。首回りが窮屈になった。まっすぐに伸びたラインが少しくびれて印象が違う。丈も少し短い。よく見ると、色も濃くなったようだ。
同じものだと思ったのに、よく見ると、何から何まで違うような気がする。
夫に聞くと、何も変わらないよと言う。
でも、ハヤシライスを食べながら、おいしいカレーだね、という人だ。この違いに気がつくはずがない。
私は鏡の前で立ちすくむ。
ある日私が違う女性に入れ代わっていても、夫はいつも通り、おはようと言うのかもしれない。

「五月病ですね」
あぁ。診断がうれしい。気づいてくれた気がして。
公園の緑はこの数日の間に濃く深くなった。
最高じゃないか、地球。