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昼休み。隣の席の国原がカバンから国旗を取り出した。
「何それ?」
「見ての通り日の丸だけど」
国原はそう答えて、ムシャムシャと国旗を食べ始めた。なるほど。日の丸弁当じゃなく、日の丸ね。さっぱりわからない。
「美味いの?」
「おかずがもう少し欲しいよね」
「赤いのは梅干?」
「明太子。欲しい?」
全力で断った。
次の日はイタリアの国旗だった。バジルとモッツァレラチーズとトマトらしい。国原はタバスコを振りかけて美味そうに平らげた。
翌日はインド。黄色はカレーで緑はパクチー。強烈な匂いがしたので聞く前にわかった。
その翌日は中国。見るからに辛そうだ。国原は唇を腫らしながら完食した。
その次はイギリス。ユニオンジャックはどんな味なんだろう。
「一口頂戴」
「いいよ」
国旗の切れ端を受け取って口に入れる。噛むと布の味がしてすぐに吐き出した。
「まずいっ」
「イギリスだからね〜」
そういう問題かな!?
ファンタジー
公開:19/05/06 20:47
更新:19/05/06 22:49

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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