辞書が私の全て

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辞書という国は、私を幸せへと連れていく。

文字の乱雑羅列。
乱雑ではないか。
きょうもきょうとて、私は辞書をぺらぺらめくり、私の人生を決めていく。

「塔」
そうか。きょうは「塔」へ行けばよいのか。

「出会い」
えっ、もしかして7年ぶりに運命の彼氏到来?
な訳ないか。


「落ちる」


「走馬灯」


「赤」


「必死」


「命」



塔をのぼる。
高い、高い、塔である。
風も吹く。
今にも足をすべらしてしまいそうだ。

てっぺんに着いた。
下を見たら、たくさんの人。
みんなも塔にのぼるようだ。

気をつけてね、きょう風が強いから。

ふとそのとき。

私の目の前は真っ暗になった。









ああ、またトリップしちゃった。
ほんと、辞書って見てるだけで眠くなるんだよね。
受験勉強なんてやんなっちゃう。


私の部屋の壁には
「浪人脱出」

辞書なんていらない人生になれ。
ファンタジー
公開:19/05/08 14:12

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