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ーー嫌いじゃないけど。
思わず口に出た。
自分でも、そっけなさ過ぎると思える口調だった。
案の定、そうなんだ、と微笑んで、彼は元のグループに戻っていった。
そこには、嫌いじゃない、を好きだよ、と言える彼女がいて、すぐ起きた笑い声に、胸がグッとなった。
ーーちがうんだ、と言いたかったけど、それも言うことはできなかった。
うるさく鳴った心臓が、言いたいことを変えてしまったせいだ。
クラスはざわめきに満ちていて、その中心には彼がいた。
彼の姿は今は遠くて、彼女に向ける、笑顔も遠く。
出してあげられなかった言葉が響いて。
それをわたしは、心に聞かせる。
ーーあなたの言ってた、曲が好き。
ーーあなたの話した、バンドが好き。
ーーそして、あなたの優しさと、あなたのことが、わたしは好き。
思わず口に出た。
自分でも、そっけなさ過ぎると思える口調だった。
案の定、そうなんだ、と微笑んで、彼は元のグループに戻っていった。
そこには、嫌いじゃない、を好きだよ、と言える彼女がいて、すぐ起きた笑い声に、胸がグッとなった。
ーーちがうんだ、と言いたかったけど、それも言うことはできなかった。
うるさく鳴った心臓が、言いたいことを変えてしまったせいだ。
クラスはざわめきに満ちていて、その中心には彼がいた。
彼の姿は今は遠くて、彼女に向ける、笑顔も遠く。
出してあげられなかった言葉が響いて。
それをわたしは、心に聞かせる。
ーーあなたの言ってた、曲が好き。
ーーあなたの話した、バンドが好き。
ーーそして、あなたの優しさと、あなたのことが、わたしは好き。
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公開:19/05/07 23:26
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