宇宙船プレアデス号

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 宇宙を突き進む超光速宇宙船プレアデス号。プレアデス号が赴くは、二百三十万光年彼方のアンドロメダ銀河。苦難に満ちた前人未到の航海を指揮する船長。迫るガニメデ星人との全面戦争を前に、船長は装備品マニュアルを読みあさっていた。
「ニュートリノ放射砲…地殻破砕ミサイル…全生物対応型神経ガスDZ5…反物質型シールド装置…私が必要としているのは、こんな武器や防御システムではないのだ!」
 船長は睡眠不足で充血した赤い目をこすりながら、右手で自らの頬を力強く叩いた。
「私には理解できない。宇宙最強のプレアデス号に、なぜあれが装備されていないのだ?」
 船長は、装備品マニュアルを収めたタブレット端末を壁に投げつけた。
「いま私に必要なのは、何十億もする武器や防御システムではない!一本の蚊取線香なのだ!」
 歴戦の勇士である船長の周りを、蚊の大群が耳障りな羽音を立てて飛び回っていた。
SF
公開:19/05/07 20:01

黒柴田マリ( ヨコハマ )

黒柴田マリと申します。ショートショート、大好きです。あと、リンゴも大好きです。

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