風の音(ね)木の音(ね)言葉の音(ね)

サワサワサワ…

強く羽ばたいた風の鳥を捕まえようと、葉っぱ達は身体を広げて立ち向かう。
ああ！大きすぎたぁ
声をあげた隣の兄弟が風の鳥と一緒に羽ばたいた。

ザワザワザワ…
葉っぱ達が皆笑う。

「クスクス」
笑う声が聞こえる。
たぶん、あの坊やだ。
帽子を被った、いつもの子。
どうもあの子は僕達葉っぱの声が聞こえるようだ。
あいつ、仲間だな。いい奴だ。
ぽーん
どんぐりを一個あげた。1番大きいのだ。
「ありがとう！」
帽子の坊やは僕たちに手を振ってくれた。


サワサワサワ……

また強く羽ばたく風の鳥の季節がやってきた。
僕たちはまた必死に鳥たちを捕まえる。
下でそれを見てる帽子の青年がいる。
青年はあの坊やだ。
五感を研ぎ澄ませて、僕たちが生きている事を、人間の言葉にして歌っている。
心地よい音、いい歌だ。

ぽーん ぽーん ぽーん…
皆んなが帽子の青年にどんぐりを贈った。