口を結んだまま

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深海に、艶やかな罪と夢が漂い、舟の光が朧気にそれを照らす。
海はいつになく、ずっと口を結んだまま、秘密を守っている。
行方知らずの魚の群れは列をなして、東のほうへと泳いでいく。
底にへばりつくイソギンチャクは微かな光を頼りに、幾本の手を天井へとのばしている。
私はただの亡骸同然で、夜の海を一人で泳いでいる。
「いつになったら、絶命に辿り着くのか?感情をなくした私には愛も哀しみも楽しみも人と同じように理解しがたい。いっそ、この身を夢へと委ね、絶倫へと導いてはくれないか?」
私は、気持ちの中で願った。
薬におかされた惚気のように、雲のような想いではなかった。
その他
公開:19/05/05 00:04

神代博志( グスク )









 

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