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こんな夢を見た。
土蔵の中の土壁の一面に痩せた蛹が張り付いている。私はその背を木刀の先で順番に突いていき、汁が出てきたものを摘み取っては、付いて来た白い犬に与えている。指先に塩辛みたいな臭いが付くので、指を犬に舐めさせながら全部の蛹を叩き終えると、もう夜が明けてきた。
朝日に照らされてみると、蛹はみんな座禅を組んだ坊さんだった。私はひどく空腹だった。三人の坊さんの背中が歪に膨れてキシキシと音を立てた。私は犬と一緒に様子を見ている。
すると背中がゆっくりと割れていき、巨大な蝶が羽化した。蝶は割れた背中にふんばって、極彩色の羽をゆっくりと開いたり閉じたりさせると、やがてひらひらと外へ飛んでいってしまった。
僕は振り返って尋ねた。
「蝶になれば、あの河を越えられるのですか?」
「向こうは冬だから、すぐ死んでしまうよ」
犬はそう言うと壁に飛びつき、残っていた蛹をみんな食べてしまった。
土蔵の中の土壁の一面に痩せた蛹が張り付いている。私はその背を木刀の先で順番に突いていき、汁が出てきたものを摘み取っては、付いて来た白い犬に与えている。指先に塩辛みたいな臭いが付くので、指を犬に舐めさせながら全部の蛹を叩き終えると、もう夜が明けてきた。
朝日に照らされてみると、蛹はみんな座禅を組んだ坊さんだった。私はひどく空腹だった。三人の坊さんの背中が歪に膨れてキシキシと音を立てた。私は犬と一緒に様子を見ている。
すると背中がゆっくりと割れていき、巨大な蝶が羽化した。蝶は割れた背中にふんばって、極彩色の羽をゆっくりと開いたり閉じたりさせると、やがてひらひらと外へ飛んでいってしまった。
僕は振り返って尋ねた。
「蝶になれば、あの河を越えられるのですか?」
「向こうは冬だから、すぐ死んでしまうよ」
犬はそう言うと壁に飛びつき、残っていた蛹をみんな食べてしまった。
その他
公開:19/05/04 11:08
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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