ハイドランド・シーク⑪(完)
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土砂降りの様な雨音で目が覚めた。
時計は夕方を回り、台所からお醤油の匂いがした。
くぅ…。微かにお腹が鳴る。悲しい様な、笑える様な気分だった。
外は夕焼け。美咲君がホースで水を撒いている。
雨音の正体はこれか。放っておけばいいのに、デリカシーのない奴。
「気分は?」
「落ち着いた」
「食べられるなら、卵粥、温めましょうか」
戻した後に見たくないビジュアル。ちらりと掠めたけれど、せっかくだし、いただこう。
「……ごめんなさい」
珍しく素直に出た。
「我ながらガキだと思いました。いい薬です」
「合鍵、後で渡すわ。これから貴方のだし」
きゅっ、蛇口を止める。
「今晩お酒付き合って。誕生日過ぎたから」
「一杯だけですよ」
「急に話が分かる様になったわね」
「これから共同生活なら、少しは譲歩しないとね」
5年掛けて、やっとスタートラインに立った。
二人が人生の相棒になるのは、まだ当面、先の話。
時計は夕方を回り、台所からお醤油の匂いがした。
くぅ…。微かにお腹が鳴る。悲しい様な、笑える様な気分だった。
外は夕焼け。美咲君がホースで水を撒いている。
雨音の正体はこれか。放っておけばいいのに、デリカシーのない奴。
「気分は?」
「落ち着いた」
「食べられるなら、卵粥、温めましょうか」
戻した後に見たくないビジュアル。ちらりと掠めたけれど、せっかくだし、いただこう。
「……ごめんなさい」
珍しく素直に出た。
「我ながらガキだと思いました。いい薬です」
「合鍵、後で渡すわ。これから貴方のだし」
きゅっ、蛇口を止める。
「今晩お酒付き合って。誕生日過ぎたから」
「一杯だけですよ」
「急に話が分かる様になったわね」
「これから共同生活なら、少しは譲歩しないとね」
5年掛けて、やっとスタートラインに立った。
二人が人生の相棒になるのは、まだ当面、先の話。
青春
公開:19/05/02 18:12
二人のその後については、
『フラワーネットワーク』
シリーズにて。
ご観覧ありがとうございました。
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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