ハイドランド・シーク⑥

美咲創樹（みさきもとき）を調べるのは難しかった。
詳しいプロフィールは非公開。写真もヒットしない。秋月君から探るのも気が引けて、ただ、このままにしておけなかった。

『あいつの話は金輪際しないで下さい』
怒った声じゃない。もっとどす黒い、憎しみの声。
叶うなら殺したいと聞こえた。

『s'』が無事再開し、表面上、美咲君も私も普段通り。
でも、決定的に何かが違った。それを突き止めないと店は破綻する。まだ２０歳の小娘に、独りで切り盛りする力も、秋月君ほどの才能もない。悔しくても、認めたくなくても、『s'』と私には、美咲君が必要だ。


遠方のローカルページで見付けた。
美咲創樹。出身は山間の小さな町。二度結婚し、死別した最初の奥さんとの間に、息子が一人。
――美咲もみじ。確かに美咲君だ。
仔細は辿れなかった。息子は現在、創樹とは絶縁状態。再婚した後妻と、何らかの確執があったらしいと報じていた。